風が強い午後の街。
電信柱に貼られたチラシの三方が剥がれている。
何のチラシ? 剥がれた角をもう一度貼り直してみると、
「探しネコ」のそれだった。
数日前から見えなくなってしまった。
行方を捜している。連絡先は……
とワープロで打たれた文字の横、
名前を呼ばれてひょいと振り向いたような姿の
まだ若いネコの写真が貼付されていた。
風が冷たい。今夜は冷えそうだ。
さぞかし心配だろうと思いつつ、
今週の土曜日の朝の教室を考える。
講師は作家の森 絵都さん。
数々の作品でおなじみの作家だが、
彼女の『おいで、一緒に行こう』を読んだのは、
2012年の初夏だったろうか。
「福島原発20キロ圏内のペットレスキュー」
というサブタイトルが語るように、
あの第一原発の事故のあと、
取り残されたネコや犬たちのレスキューを描いたノンフィクションだ。
動物好きのわたしには、いろいろな意味で「たまらない」作品だった。
以前、処分される直前の犬や猫の写真展を
何度かクレヨンハウスで行い、
大きな反響をいただいた経験もある。
連れていけなかった人間も辛い。
残された動物も、
ひたすら飼い主が帰ってくるのを待ち続ける動物もまた……。
一匹一匹と丁寧に向かい合った森さんのお話を、
反原発・廃炉を求めるわたしたちも丁寧に確かに受け止めたい。
11月22日午前9時から、クレヨンハウスで。