2014年5月21日水曜日

5月21日

……福島原発事故の深刻さを鑑みれば、この「テレビ会議映像記録」は東電のものではない。私たちのものだ。
ここに、本来の持ち主にこれを還す……。

一冊の本の後書きに記された、上掲の短いことばの中に、どれほどの思いが詰まっていることか。
後書きの数行を前に、落合、柄にもなく涙ぐんでしまった。『原発事故東電テレビ会議49時間の記録』(岩波書店刊)の後書きである。
すごい本だ。後世に残すべき、紛れもなく「わたしたち自身の資料」である。
福島第一原発事故。東電ではどんなテレビ会議が行われ、どんな言葉が飛び交っていたのか。未だ「収束」などほど遠い、福島第一原発の過酷事故。にもかかわらず、政府は再稼働を急ぎ、海外への輸出にも積極的だ。現政府の中では、事故はすでに「過去」のことなのかもしれない。住民はむろんのこと、多くのわたしたちにとっては現在進行形であるのに。
事故を検証するためにも、わたしたちは「大本営発表」ではない、あるがままの真実、まずは基礎資料をどれほど求めてきたことか。断片でしかなかったテレビ会議をまとめたのが、本書である。
そして、この本をまとめられたおひとりが、朝日新聞社の木村英昭さん。後書きを書いたのも、木村さんだ。
この労作の完成と後書きに深く心打たれ、5月31日の「朝の教室」の講師をお願いした。時間的調整に手間取って、発表が遅くなってしまったことをお詫びする。

本書の後書きを繰り返す。
……福島原発事故の深刻さを鑑みれば、この「テレビ会議映像記録」は東電のものではない。私たちのものだ。
ここに、本来の持ち主にこれを還す……。
持ち主である、わたしたちがしっかりと受け止めないで、誰が受けとめ、今後にいかすことが可能か。
酷すぎる時代であるが、わたしは諦めない。
本書がまとまるまでの経緯も含めて、木村さんに伺いたいことは多々ある。ぜひ、ご参加を!