68回目の終戦記念日。
母たちの世代は、いつも言っていた。
「戦争は、もう二度とごめんだ」と。
心からそう思っていたのだろう。
この国が戦争に雪崩を打って突入していく時、彼女たちは選挙権がなかった。
だから、「そんなにいやなら、なぜ反対しなかったの?」という中学生のわたしの質問は、ある意味、酷だったかもしれない。
しかし終戦後、選挙権を手にした女性たちの中で何割が,
「平和」を軸に、漸く手にしたところの選挙権を行使してきただろう。
そして、男たちは?
そして2013年。
この夏の参院選を終えて、はじめて迎える終戦記念日。
集団的自衛権にはすぐにも手がつけられようとしている。
撤回はしたが、ナチズムを肯定するような声が政府内部からあがった。
それを問われる参院選であったはずなのだが。
気落ち気味の終戦記念日。
「夏の学校」でも紹介したが、井上ひさしさんの
「少年口伝隊 1945」(講談社 刊)、ご一読を。
妹とかくれんぼをしていた英彦少年が、
祖母の肩たたきをしていた正夫少年が、
そして川で母親と芋を洗っていた勝利少年が、
1945年のあの日以降に、辿った日々とは。
原爆投下のヒロシマを舞台にしたものだが、
妹とかくれんぼしていた誰かが、
祖母の肩を叩いていた誰かが、
川で芋を洗っていた誰かが、
ある日突然……ということが、
起きないと誰が保障できるだろう、この時代、この社会で。