2013年4月4日木曜日

4月4日

仕事をしなくてはならないなあ、
と焦りながら輪郭が溶けたような、
曖昧でぼーっとした時間を漂うことがある。
その中で歳時記を、これまたぼーっと見ていたら、
「花疲れ」ということばに出会った。
お花見の人出に酔ったのか、
気怠い疲労が残った状態をそう呼ぶようだ。
ひとに「花疲れ」があるよしたら、花自身にも疲れはないだろうか。
花がどこまでそれを意識しているかどうかは別だが、
「咲く」という行為は、
とてつもないエネルギーを要するものだと思う。
花には花の、鳥には鳥の、虫には虫の疲れがあるのかもしれない。

絵本作家で、無類の鳥好き、鳥の巣研究家でもある鈴木まもるさんの新刊に
『おじいさんとヤマガラ』(小学館)がある。
主人公は、虫や鳥が大好きなおじいさん。
おじいさんはいつも冬のあいだに、ヤマガラのために巣箱をとりつける。
2011年。福島第一原発事故があったあの年も、家の周りに巣箱をとりつけた。
虫が食べる葉にも放射性物質がついたかもしれない。
その葉を食べた虫を親鳥はヒナに食べさせるかもしれない。
ヒナは大丈夫だろうか……。
サブタイトルは『3月11日のあとで』。
それぞれがそれぞれの方法で、
原発事故と「その後の社会」と向かい合っている。
悲しみと憤りと、祈りをこめて。