春の嵐、というと、なんだか文学的でも
あるけれど、昨日もまた砂嵐が。
10日もデモに出る直前から砂嵐になったが。
福島双葉出身の歌人、佐藤祐禎さんが
12日に亡くなられたことは、一昨日のブログでお報せした。
土曜日がご葬儀だそうだ。
ゲームクリエーターの飯野賢治さんも亡くなった。
40代。若すぎる、本当に若すぎる死である。
わたしはゲームをしないので知らなかったが、天才的
クリエーターだと言われていたという彼である。
その飯野さんが、2011年福島第一原発事故のあと、
ご自分のブログで、反原発をおっしゃっていることを
編集部のスタッフから聞いて、クレヨンハウスの
育児雑誌『月刊クーヨン』でインタビューをさせて
いただいたのは、2011年7月号の『クーヨン』だった。
穏やかなかただった、と取材にいったスタッフも言っていた。
そのインタビュー記事を改めて、ご紹介したい。
……もともと原発の問題には関心があって、いくつかの活動に名を
連ねてはいたんですが、たいした運動をしているわけではありませんでした。
仕事のこともあって、公然と「原発反対」と言ってこなかったところもあったん
ですが、このタイミングで言わなければ ずっと言わないだろう、それも気持ち悪い
なと思ったんです。
自分の態度を公にして、その姿を子どもにも見てほしい、そして考えてほしいと思っ
たんです。
原発の話って、経済効率や安全性はどうか、だから反対か賛成か という話になりが
ちだけれど、
そういう論理的なことで判断していくと、失敗してしまうと思うんです。
ぼくは、先の世代を考えることが大事だと思う。
原発は廃棄物の処理に10万年もかかる。そんな後回しはないですよね。
世の中「自分がOKなら OK」と言ってしまうと、環境問題でも何でもどうでもよく
なってしまう。
たとえば、ふだん「親や友だちには迷惑をかけたくない」と 思いますよね。
そんなふうに気にかける範囲を広くし、時間軸まで 広げていくやさしさが
ひととしては大事で、原発にはその視点が欠けていると思います。
子どもに話すときも、論理的な説明はあまり届かないんです。
それよりも、こっちもまだ悩んでいる、ことばを選んでいる、そういう気配を、
子どもって敏感に感じ取るんですよね。
逆にそういう態度を見せられないと、親ではなくなってしまう気がしたんです。
テレビや本が言うことと、変わらなくなってしまいますから。
結局は 息子が自分なりに考えてどう思うかでいいんですが、話してみたら
意外と原発にポジティブで驚いたんです。いまの子は普通に生きているとそうなっ
ちゃうんだ、と。
子どもはこういうときの親の行動を見て、ちいさなひとこともよく聞いています。
いま親がどう動くか、そのコピーで大人になると思っていい。
そう考えると、いまほど教育の機会はないと思いますよ。
ぼくが先の世代を考えれば、息子もその先の世代を考えてくれる。
伝えなければその視点をもたない。だから話をしようと、
うちの親父が聞いたら笑っちゃうような当たり前のことを言っているだけなんです。
話せる状況はふだんからつくっておかなきゃ。
わがやは年に一度、上の息子が小学2年生くらいから父子旅行をしているんですよ。
下の子にも、そのうち話をしていかなきゃいけないですね……。
2011年の春にこのインタビューをお願いしたとき、
その春に中学に入学した「上の息子」さんと、
まだ小さかったもうひとりの息子さんと、
飯野さんは写真におさまってくださった。