2012年3月12日月曜日

3月11日

今日は一日東京を離れていた。
いろいろな集会が各地で行われるのでどれにも参加したかったが、
ずっと以前から決まっている東海地方の講演だった。

14時46分。会場では黙祷。
同じ時間、クレヨンハウスでも、
お客様に14時46分であることをスタッフがお報せをして
それぞれの心の中で、手を合わせていただいた。

東海地方での講演会でも黙祷の後がわたしの話だった。
この1年間について振り返り
会場のかたがたと、銘々それぞれのやりかたで、
心を被災地へ、そして被災地のかたがたへ、と。
涙を浮かべる受講生のかたも多く、
わたしたちは「あれから1年」で忘れてはならないのだ、と心に誓う。

去年の3月11日。
どこで何をしていたかを自分の言葉にできるひとは、
苦闘しながらもいまここに生きのびることができたかたがただ。
亡くなったかたは、生きのびた誰かの心の中に
その存在を、その人生を、その記憶を深く深く刻む。

詩人長田弘さんが、最愛のおつれあいを見送った後に
クレヨンハウスから刊行させていただいた
『詩ふたつ』(クリムトとのコラボの詩画集)の中の後書きで次のように記しておられた。

……亡くなった人が後に遺してゆくのは、その人の
生きられなかった時間であり、その死者の生きられなかった時間を、
ここに在るじぶんがこうしていま生きているのだ……と。

復興のかけ声に、まだまだついていけないひとにも、
この祈りが届くように、と。