2日目の旅先の夜。
昨日は神戸だった。
去年の3月11日。15時過ぎに乗ったタクシー。
えらいこっちゃ、えらいこっちゃ、とカーラジオを聴きながら、
震える声で呟いていた、初老の運転手さん。
わたし自身も、車内に流れるニュースからは、
とてつもないことが起きた、
ということぐらいしかわからなかった。
とてつもない地震らしいということぐらいしか。
えらいこっちゃ、と繰り返していた運転手さんさんはけれど、
車が新神戸の駅に着いたときには、
はっきりとした口調でおっしゃった。
「あたしら、阪神淡路大震災のとき,日本中のひとたちから,
世界中の人たちからも,たくさんの心をいただいたのだから,
今度はあたしらがお返しする番です」
去年の3 月11日以降、わたしたちは、
まっとうに生きる人の、
まっとうな感覚と想いと共感に支えられて来たような。
間もなく、1年。
「生きていてくれて、ありがとう」。
クレヨンハウスの店頭に置いたダンボールのポストに、
被災されたかたがたへの、
そんなメッセージをのこしてくれた、あなた。
わたしからも、ありがとう。
「あれから1年」の特集の時期が過ぎたら、
ひと区切りではなく、ここから再びの一歩を、
わたしたちは注意深く、かつ果敢にふみだしたい。
福島でもまだなにも収束していないのだから。