2012年5月15日火曜日

5月15日

すでに旧聞に属することになってしまったが、
関西電力大飯原発3号機、4号機のストレステストに対する、
意見聴取会委員の井野博満さん、後藤政志さんおふたりの
審査書提出に対する抗議声明が、
提出日より3か月以上たった今も、気になって仕方がない。
もう一度、ここに紹介するので、お読みいただきたい。
井野さんはお目にかかったことはないが、
後藤さんは朝の教室の講師を昨年していただき、
クレヨンハウスよりブクレットも出していただいている信頼できる専門家だ。

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2012年2月13日

関西電力大飯3・4号機ストレステスト審査書提出に抗議する緊急声明
ストレステスト意見聴取会委員
井野博満・後藤政志

原子力安全・保安院は、本日、関西電力大飯原発3・4号機の一次評価を
「妥当」とする審査書を原子力安全委員会に提出しました。私たちは、
このような拙速なやり方は、とうてい認められません。

2月8日の第8回意見聴取会では、様々な技術的な課題が残されている
ことが明らかになりました。原子力安全・保安院も、その場で議論を終了
するとは明言しませんでした。当然、継続審議となると思いました。審査
書が原子力安全委員会に提出されたことに対して意見聴取会の委員として
抗議します。

ストレステスト意見聴取会では、徹底して議論を尽くすことが、国民に
対する原子力安全・保安院の責務です。次のような根本的な問題が残って
います。

(1) 判断基準について、保安院は「福島第一原子力発電所を襲ったような
地震・津波が来襲しても同原子力発電所のような状況にならないこと
を技術的に確認する」としています。しかし、津波の想定は11.4メー
トルで、福島事故の14メートルよりも低くなっています。そもそも、
福島事故は収束しておらず、原因もわからない状態です。

(2) 評価の対象、基準の適用について以下の技術的な疑問があります。
①制御棒の挿入性を検討の対象から外しています。
②基礎ボルトなど機器の強度については、安全率を削って評価して
います。 
③原子炉建屋などの構造強度に関わる許容値について、耐震バック
チェックの基準より甘い許容値を適用することを認めています。
④本来の設備は福島原発事故前から改善せず、消防車や非常発電
装置などの外部仮設設備だけで安全だとしています。

(3) ストレステストは、過酷事故対策の検証を含めた二次評価と合わせて
評価しなければ、地域住民が安全性を判断する上では意味がありません。

電力事業者は、原子力安全・保安院の指示により、これを
2011年末を目処に提出するはずでしたが、関西電力は二次評価結果を
未だに提出していません(2月13日現在)。

原子力安全・保安院が、現時点で「妥当」としたことは、はじめに再稼働
ありきの見切り発車と言わざるを得ません。このような姿勢こそが、福島
原発事故を招いた要因です。このように原子力安全・保安院は、規制当局
としての役割を十分に果たしていません。まずすべきことは、自らのあり
ようについて根本的な反省をすることです。

本日の審査書の提出は、「安全性に関する総合的評価」とされるストレス
テスト評価の体をなしていません。         

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大飯原発が再稼働されれば、2月13日付の抗議の声明にあるような理不尽で
非科学的とも言える「基準」がそのまま適用されて危険性をわたしたちは
今現在抱えている。
5月5日~の原発ゼロの日は続いているが、原発ゼロを「束の間の
夢」で終わらせないよう、再度考える上で、おふたりの声明文を
再び読み解いていただきたい。