福島の大熊町で農業をされていた歌人、佐藤祐禎さんの『歌集 青白き光』を、
発行元のいりの舎、玉城入野さんから送っていただいた。
昨日は群馬県沼田市で講演だったので、新幹線の往復路で、
そして帰宅してからも、白地にブルーの罫線が入った原稿用紙様の表紙の歌集を
何度も読ませていただいた。
現在80代の、反骨の歌人が詠んだ凛々しくも深い短歌である。
佐藤さんは歌集の中で元号を使っておられるので、それに従ってご紹介をするが、
昭和58年からスタートする歌集は、平成14年で終わっている。
が、昭和60年代には、すでに原発への拭いがたい不信と不安と不穏を詠んでおられる。
いりの舎の玉城さんにご了解を得て、幾作かご紹介する。
昭和63年
原発が安全ならば都会地になぜ作らぬとわれら言ひたき
線量計持たず管理区に入りしと言う友は病名なきままに逝く
平成元年
農などは継がずともよし原発事故続くこの町去れと子に言ふ
「この海の魚ではない」との表示あり原発の町のスーパー店に
そうして、歌集の最後は今回の苛酷事故を予言したかのような、
次の歌でしめくくられている。
いつ爆ぜむ青白き光を深く秘め原子炉六基の白亜列なる
『歌集 青白き光』定価700円(本体667円+税)
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