『会社万葉集』(青木雨彦・編著 光文社・刊)
いまは亡き青木さんから贈っていただいたものだ。
その中に、詩人・佐々木安美さんの作品が収録されている。
会社に行くのがいやになって
寝床の中で
頭が痛くなれ
頭が痛くなれと念じてみたけど
痛くならない
妻に起こされて
今日も
たらこを食べる
ぼくのために
からからになるまで焼いてくれた
妻の小さな
愛情を食べる
いい詩だ。ちょっとせつなくもある詩だ。
「からからのたらこ」も、心にしみる。
詩人は山形出身であるらしいが、福島にも、
こんな朝を何千と迎えた妻と夫がいたはずだ。しかし、いまは……。
すべてを破壊したのだ、原発は。