よく仕事をした木曜日だった。大学で授業をふたコマ。
それから全国中学生人権作文コンテストの選考会。
そして、カナダの児童文学者デボラ・エリスさんとの対談。
そして、その後別の場所へ移動して打ち合わせ。
ひとは十数時間働きつづけると、規模の大小に関係なく、
なんらかのミスをすると言われているが。
ミスしなかったか? わたしよ。
デボラ・エリスさんはの作品はさ・え・ら書房などから何冊も翻訳されている。
戦火のもとの子供たちや、貧困の中の子ども、
学校というシステムの中で立ちすくんだり、
果敢にその壁を破ろうとする子どもや女性を描く作家だ。
わたしは特に、2001年に日本では翻訳刊行された『Xをさがして』の主人公、
「カイバー」(自分でつけた名前が)が大好きだ。
……母さんは昔、ストリッパーだった……から始まる、
この過激にして初々しい少女の、成長物語。
それはそのまま、母さんと双子の自閉症の弟と「わたし」という
家族の成長物語でもあるのだが。
「カイバーは、わたしに似ている部分もあるし、
わたしがそうありたかった少女像でもあるわ」
デボラさんはそうおっしゃった。
はじめての来日。
講演などの合間に、福島を旅して、
いろいろなひとやいろいろな風景に出会ってきた。
17歳の時から、非暴力、平和運動、フェミニズムなどの
活動をはじめた彼女は、いまもパートタイムで、
かつて勤務していたトロントの施設で、カウンセラーの仕事も続けている。
並行してアフガンの難民を支援するNPOの中心人物でもある。
「わたしは子どもがいないわ。でも、わたしは
かつて子どもだったし、わたしの中にはかつて子どもだったわたしがいまもいる。
だから、子どものことを書くのは自然なことだと思う」。
と、彼女。
原発をなくすために、「わたしたち」にできること。
そのテーマでも熱くなって話をした。
詳しくは2月号の『クーヨン』で。