2011年5月31日火曜日

5月31日

福島原発LINKをご覧ください、というお報せ。

28日に一回目を迎えた、原発をもっと知ろう、クレヨンハウスMORNING STUDIES。
1回目の講師に上田昌文さんをお迎えして、大盛況のうちに終了した。
(こういった会が盛況であることを果たして、喜んでいいのかどうかはわからないが)
そのとき、会場からひとりの女性が、息子さんが甲状腺がんになり摘出したこと、
その息子さんが「ぼくのような人間をもう二度とつくらないように、みんなに話してきて」
と言って、送り出してくれたことも、彼女は話してくださった。
息子さんがまだ乳児だった頃、彼女は母乳で息子さんを育てておられた。
その息子さんが甲状腺のがんであることがわかったとき、
医師からは「育児中、ヨーロッパにいましたか?」と訊かれた
ということも彼女は会場で話をしてくれた。

チェルノブイリの原発事故のあと、
ヨーロッパ各地に風にのってホットスポットが出現したことを受けての、
医師の言葉であったのだろう。
しかし、彼女も息子さんも当時もいまも日本で暮らしている。

上田さんからは、チェルノブイリの原発事故のあと、
あの年の5月3日頃がもっとも放射線量が酷かったと、
答えておられたが、原発事故との因果関係は、無念なことに立証することはできない。
司書をされている、このひとりの女性であり、母であるかたの
悲しみと憤りはどれほどのものであろうと考えると、胸が詰まる。息子さんもまた。

そして、2011年、福島第一原発暴走である。
わたしたちは以下の行程をしっかり覚えておかねばならない。
3月11日 19時3分。
政府は、緊急事態宣言を発し、
21時23分に、3キロ圏の避難、10キロ圏の屋内退避を指示。
12日 午前5時44分。避難区域を10キロ圏に拡大。
そうして、それから避難区域は20キロ圏まで拡大され、30キロ圏には屋内退避が指示。
3月25日 政府は30キロ圏の屋内退避指示をした住民に対して「自主避難」勧告。

このブログでもずいぶん前に書いたが、「自主避難」とは、
今後どのようなことがあっても、たとえ健康被害が生じても、国はどんな保障もしない、
「自己責任」で対処するように、という意味の通達である。
そうして、福島の子どもたちへの年間被曝線量20ミリシーベルトと発表。
原子力安全委員会と当局の、「どっちが言った」「こちらは言わない」
といった醜い責任逃れの対立風が続いた。
これも当ブログに記してある。

そうして、ようやく努力目標として1ミリシーベルトとする、
という文部科学大臣の発言はあったが、それにしてもあくまでも努力目標である。

被曝の影響には「しきい値」は存在しない。
被曝には安全値はないにもかかわらず、である。
さらに、20ミリシーベルトが規準になったときも、
そうしていまも、「内部被曝」については曖昧なままだ。

3日前のこのブログに、5月17日に福島飯館村の住民が、
政府と福島県、福島県立医科大学付属病院大学の三者に提出した要望書をご紹介した。
「……とりわけ放射能に対する感受性が高い子どもたちが、
このニヶ月間に受けた体内被曝量が、事実として、いかほどであるかを正しく測定し、評価し、
記録しておくことは、今後の私たち村民の健康管理にとって必要不可欠」と考えてのことである。

内部被曝、ホールボディカウンターによる体内放射能測定に関する要望書である。
そこには、一週間以内に文書で回答をと記されているが(5月29日のブログ、参照)。
その後が気になって、当事者のおひとりに「福島原発LINK」を教えていただいた。
ここに詳しく記されているので、是非、ご一読を。
http://fgenpatsu.blog55.fc2.com

結果からいうと、要望書で区切った回答期限が過ぎた26日夜に、
福島県立医科大学から「検討中」という電話連絡があったという。
来週ぐらいには回答するということらしいが、これはやはり事実上の回答保留と考えざるを得ない。
さらに驚愕と憤りを覚えるのは、政府と県からは未だ無回答、という事実だ。
「無回答」!!!!である。

すでにご存知と思うが、被曝には外部被曝と内部被曝があり、
園や校庭の土を削りとる作業にも取り組んでいるが、
内部被曝はホールボデイカウンターでの調査が必要であり、
いずれの場合も成人より子どもの被曝の感受性ははるかに高い。
それゆえに、要望書は提出されたのだ。
にもかかわらず、「無回答」とは信じられない対応だ。
飯館村は原発暴走の後もかなり放置されていたところであり、
さらにその住民たちの切なる願いまで、この国は放置するというのか。
ホールボディカウンターによる内部被曝調査は、いま現在の内部被曝を測定するだけではなく、
将来起こり得る健康被害(決して起きてはほしくはないが)について、
原発事故との因果関係を証明するためにも不可欠な立証資料でもある。

それらの要望に対して「無回答」とは、どういうことなのか。
子どもたちのいのちと、国の財政や東電が秤にかけられ、
後者を選ぶための、「無回答」なのか。
またもやこの国は「自己責任」と逃げるのか。
最初に「自己責任」を流布したのは、自民党政権だった。
政権が変わっても、「民のいのち」は、こんな風に棄てられるのか。
ワープロを打つ指先の震えが止まらない。

「福島原子力発電所事故対策統合本部本部長 菅直人様」宛ての、
この要望書に、住民の叫びに、菅さん、あなたは応えないのか。
薬害エイズの被害者の前で流したあなたの涙は、一体なんだったのか。

要望書のこのフレーズを、あなたはどう読むのか。
「………私たち村民のほとんどが、子どもたちを含め、『放射能の雲』が村に流れていた3月15日には、
空間線量率が40マイクロシーベルト/時に達したことも知らないまま、
マスクなどの防護もせずに屋外での活動を続けておりました。
大人たちは他の地区からの避難者の受け入れに奔走していました。
その後も、飯館村には国から『屋内退避』の指示が出されることもなく二ヶ月が過ぎました。
またチェルノブイリ原発事故によるベラルーシ共和国の汚染地域では、
飯館村の汚染レベルより低いレベルの汚染地域でも、政府の政策として、
地区の中央病院に設置されたホールボデイカウンターで、毎年の検診時に、
住民の体内放射物質(セシウム137)の測定が行われ、
住民への健康・生活指導がなされていると聞いております。
以上のような趣旨から、飯館村の村民に対してホールボディカウンターによる測定を行うことをお願い致します。
また、その際には測定結果(核種と量)を正確に記載した記録を本人に手渡して
被曝評価などの説明が必ずなされるようお願い致します」

ヨウ素131など、半減期が短い核種は、すでに測定はできないだろうが、セシウム134や137は測定可能だ。
なにをためらう。なんのための無回答なのか。

詳しくは「福島原発LINK」をご覧ください。