4月29日、内閣官房参与として管政権に起用されていた
小佐古敏荘・東大大学院教授が辞任した。
原発の事故対応を批判した上での辞任である。
わたしは、いかなる政権であっても、その政府のPR係になる
可能性のある役職を引き受ける時には
慎重であっていただきたいと願う。
省庁から「忌憚ないご意見を」と参加を依頼されることはあるが、
そして、その言葉通り「忌憚のない」意見や提案をしたところで、
受け入れられる場合が極めて少ないことを過去の経験からもわかる。
数を並べ、その中に少々の「異議申し立て派」も入れておく……。
それらが彼らのいつものやりかたである。それでも「名誉職」のような
意味合いもあるので、積極的に就く人もいるにはいる。
今回辞任された小佐古さんについてはまったく知らなかったが、
辞任の弁は納得のいくものだ。
4月22日付のこのブログでも書いたが、福島の子どもたち
の校庭利用基準が年間20ミリシーベルトの被ばくを基準に
毎時3・8マイクロシーベルトと決定された。
その決定の過程も不透明であること、交渉のために
福島から参加した母親の切実きわまりない言葉も、このブログで紹介させてもらった。
それらについて、放射線の専門家である小佐古さんは29日に、
官邸や行政機関の場当たり的な対応を批判して辞任を選択した。
年間、20ミリシーベルトの被ばくは、原発の放射線業務従事者であっても
きわめて珍しく、その数値に幼児や小学生にあてはめることは、
「学問上の見地からも、私のヒューマニズムからも受け入れがたい」
この数値(年間20ミリシーベルト)の使用に抗議し、
見直しを求める、と彼は涙ながらに抗議をし、辞任の
記者会見を開いたのだ。
同時にこれは、一学者の辞任を意味することだけでは
ない。このブログでもふれたが、緊急時迅速放射能影響予測
ネットワーク(SPPDIE)が法令に定められている手順に
沿って運用されていないことこと、そして
それらの結果の発表がスピーディでないということ
(4月22日付けのブログ参照)も、今回の辞任につながったという。
福島の子どもたち同様、すべての市民は情報からも
置き去りにされている。