2011年4月10日日曜日

4月10日

井上ひさしさんが亡くなって、一年がたった。
その作品はもとより、反核・反戦・反差別、食糧の自給率の問題など、
わたしたちに深い示唆を贈ってくださったかただった。

クレヨンハウスが毎年主催する「夏の学校」。
資料がたくさん入ったエコバッグを手に登壇されて、
子どもが言葉を獲得する過程について、むろん憲法九条について、
笑いをまじえながら、素晴らしく豊かに深い講話をしてくださった。

いま、ここに、井上さんがおられたら………。
被災地の子どもに贈るわたしたちのプロジェクト「HUG&READ」に
個人で本を寄贈してくださるかたがたからのメッセージを読みながら、
ふっと思う。
「市民」を信じ、「市民であること」の意味を、
わたしたちに問いつづけてもくださった偉大なる存在だった。

クレヨンハウス東京の一階、子どもの本のフロアでは、
井上さんの書籍コーナーを常設している。
親子で、本を開くかたがたが多い。
講談社から井上さんの、子どもたちへのメッセージ
『「けんぽう」のおはなし』(井上ひさし/原案、武田美穂/絵)
がこの4月に出版された。

多くの地で首長選が実施される。
こんな時代は「強さ」が求められがちだが、
「小さな声」を踏み潰し、強者の論理を押し付ける首長に
わたしは、わたしの一票を使わない。