2011年4月22日金曜日

4月22日

文部科学省は19日、福島県内の子ども(児童・生徒)の
年間被曝線量の「暫定規準」を「20ミリシーベルト」と通知した。
一般公衆の被曝規準は、「年1ミリシーベルト」であると言ってきたのに、
いまなぜ、「20ミリシーベルト」としたのか。
そもそも「暫定規準」はどのように決定されたのか。
決定の過程さえ曖昧で、不透明なままだ。

今度は,子どもの被曝線量について、「安全神話」をでっちあげるのか。
政府は、国際放射線防護委員会(ICRP)の規準を踏まえ、
暫定規準を決定したというが、福島県からの要請を受けた
原子力安全委員会は会議を開くこともなく、県の要請から僅か2時間で、
20ミリシーベルトという暫定規準を決定した、と報道にはある。

国策として、原発の安全神話をばらまいたものたちが、
その神話が崩壊したいまもなお、こうして,子どものいのちを、
親の必死の思いを翻弄しつづけるのか。

さらに、この暫定規準には、「内部被曝」の積算はされていないという。
原発の暴走以来、メディアを通して、被曝には二つあり、
内部被曝と外部被曝があると語ってきたものたちが、
今回の暫定規準では、食べ物などによる内部被曝は切り捨てて、
「20ミリシーベルト」を決定したという。
放射線量は、外部積量と内部積量の「積算」で考えるべきものではないのか。
原発暴走の当初から、「レントゲンを撮ったら」とか
「東京=ニューヨークを飛行機で往復したら」とか「MRIを受けたら」とか、
専門家を自認するものたちが、よくも1側面だけをクローズアップして、
「安全」を強調するものだ、と、そのいい加減さに腹立たしい
思いがしたものだったが、空間線量だけの積算は、
「何も食わずに生きていけ」ということと同じだ。

某番組で一緒だった識者と呼ばれるひとは、「飛行機と同じですよ」と言ったが、
飛行機は利用するかどうか、自分で選ぶことができる。
しかし福島県内で暮す子どもたちは、「選択できない」のだ、どこで暮すかを。 
素人のわたしでさえ、当たり前のこととして考える
内部・外部被曝線量の積算を、なぜ一方の内部被曝だけ外して
シミュレーションをしたのか。許容しがたい事実であり、
子どものいのちと人生を見捨てたような、決定である。

21日、「福島老朽原発を考える会」などの三つの団体が
暫定規準の決定プロセスの公開と、このままでは子どもを守ることが
できないと抗議。事前に質問状も出し、文部科学省の担当者や
内閣府原子力安全委員会の委員などと、参議院会館で面談、交渉。
学校の校庭利用における「被曝限度年20ミリシーベルト撤回」を求めた。
同席した市民団体のメンバーによれば、文部科学省の担当者は、
「放射線管理区域」が何であるかさえ知らなかったという。
以下は何人かの手を経て、今朝、わたしのところに
届いた転送依頼のメールである。交渉に先立って以下のように
発言されたのは、5人の子どもがいるという、福島から来られたひとりの女性であった。
メールには、「ICレコーダーの録音から起こしたものであるために、
聞き間違いなどがあることはご容赦ください」という但し書きがついている。

「私はただの主婦です。5人の子どもを育てている主婦です。
ここにいる方のような学問も知識もありません。
わが子の命を守りたいとここに来た。
生きることの大切さを子どもに伝えてきたつもりだ。
その生きる大切さを一瞬のうちに奪われてしまった現実を伝えたい。
福島の子どもたちは学校の中に押し込められて、
ぎゅうぎゅうづめで通っている。
それが20ミリシーベルトという数字が発表になったその日に、
教育委員会は「もうここで活動していいです」と言ってきた。
本当にそれで安全なのか分からないまま子どもを学校に通わせるのは
不安だというお母さんはたくさんいる。
家庭の中でも、お父さんとお母さんの意見が違う、
おじいちゃんとおばあちゃんの意見が違う。子どもたちはその中で翻弄されて、
家庭崩壊につながっている家庭もある。学校に送り出した後に、
罪悪感で涙するお母さんもいる。いろんなことが起こっている。
私たちただの主婦が分かるように説明してください。
東大や京大や慶応や早稲田を卒業した人たちが
地域に住んでるんじゃないんです。私たちは中学や高校しか出ていない。
でも、子どもを守りたいという母親の気持ちはどこに行っても、
日本中、世界中いっしょです。それを、あなたたちのような安全なところで
のうのうと毎日を生活している人たちに数字だけで決められたくない。
半径10キロ以内のところに対策本部を持ってきなさい。
どんな思いでとどまっているか、知らないでしょう。
私たちは離れられないんです、あの場所を。
生まれた時からずっと何十年も住んでるんです。
子どもたちも、おじいちゃんおばあちゃんも、あの場所を離れたら…。
こんなひどいことをしておいて、数字の実験? ふざけんじゃないよ。
こんなことが許されるんですか。
私はとてもじゃないけど冷静な気持ちでこの場にいられない。
あなたたちの給料、あなたたちの家族を全部、福島県民のために使いなさい。
福島県民を全員、東電の社員にしなさい。給料を払いなさい。
そして安全を保障してください。
私たちは子どもたちを普通の生活に戻してあげたいんです。
母親のこの願いをかなえてください。」

彼女のこの発言を、文部科学省の担当者はどう聴くのか。
政治家は? 専門家は? メディアは? 
そして、わたしたちは!!!!!