福島第一原発の暴走を報道するニュースを通して、
おおかたのわたしたちは、「SPEEDI、スピーディ」
という大気中の放射の濃度や、そこに暮らすひとびとの
被曝線量等を予測するシステムについて知ったはずだ。
「SPEEDI」は、「緊急時迅速放射能影響予測ネット
ワークシステム」のことだそうで、簡単に言ってしまえば、
放射能の影響を予測するシステムと言ってもいいだろう。
ところが、100億以上もの巨額を投じてつくられた
このSPEEDIの、放射能予測の情報が、いっさい
公開されていないことを、わたしたちはどう解釈したらいいのだろう。
所管は文部科学省だが、その名称とは裏腹に、
スピーディどころか、「非公開」であるのだ。
避難区域が「半径20~30キロ圏内」の「屋内退避指示」
から「自主避難要請」に変更されたのは耳新しい。
原発事故発生直後から、高レベルの放射線量値が検出されていた、
と今頃になって言われても………と住民が困惑し、憤るのは当然だ。
計画的避難区域になるまでは、避難の「対象外」に置かれてきたのだ。
なにも知らされていなかった住民や自治体が困惑し、混乱するのも理解できる。
「なぜもっと早くに教えてくれなかったのか」
「直後からわかっていたなら、どうして教えてくれなかったのか」
「隠していたのか? 住民を見殺しにするのか」
「小さな子どもがいるのに、もっと早くに手を打つこともできたのに、
今までなぜ黙っていた!」
すべてまっとうな憤りである。
4月11には、「計画的避難区域」と「緊急時避難準備区域」に分割される
であろう予定も示され、住民はさらなる混乱の渦の中に放り込まれた。
これら「計画的避難区域」や「準備区域」などの分割は、SPEEDI等の
情報をもとにしているはずだ。
自分たちは手にしたSPEEDIの予測影響情報を使いながら、住民や
市民には非公開としているのは、なぜなのか。
「社会的混乱を避けるために、軽々しくオープンはしない」というようなことを
原子力安全委員会の委員長は記者会見で述べてはいたが、
「社会的混乱を招いている」のは、政府と相変わらず
「原子力ムラ」の専門家たちではないか。
「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」の「緊急時」も「迅速」も
「ネットワーク」という名もすべてを裏切り、隠蔽である。
余談ながら「自主避難」要請というのも、妙な言葉だ。
………あなたがたは、「自主的」に「避難」したので、責任は持ちません………。
最初から エックスキューズしているように感じるのは、わたしだけか?