2011年6月2日木曜日

6月2日

「夜陰に乗じて」という言葉がある。
夜の闇に紛れて、というやりかたはフェアではない。
きったない!やりかた、進め方のことだ。
まさに、この東日本大震災と、一向に収まらない原発暴走に乗じて、
「コンピューター監視法案」が、衆議院を通過してしまった。

コンピューターウィルスによる被害防止のための法案というが、
ほんとにそうか? 
と「おカミ」のやることには懐疑的なわたしは首を傾げる。
この法案について詳しくは、1日と2日付け東京新聞朝刊、「こちら特報部」で報道されているが、わたしたちの憲法で保障されている「通信の秘密」に対する侵害であり、違反にはならないか。

今回の福島第一原発にかかわる情報の多くが明らかに「後出し」で、たとえば放射線量の正確な数値も知らされない日々の中で、玉石混交の傾向は一部にあったとしても、ネットが果たした役割は、決して小さくはない。
何十年にもわたって安全神話をたれ流し続け、絶対安全と喧伝した原発が暴走すると、今度は「安心神話」を流布した多くの大手メディアに対抗する、市民のメディアのひとつとして、ネットの存在は徐々に、そして急速に大きくなりつつある。

活字文化で育ち、いまでも活字が大好きなわたしでも、3月11日以来、ネットをチェックし、新しい情報を得るケースが多い。
この間、ネットは「御用学者」ではない、真正の学者の存在を紹介し続け、誰の言葉なら信じていいかをも伝えてくれた。
真正の声をあげつづけたのも、ネットであり、ネットが紡ぐネットワークそのものだった。
「コンピューター監視法案」は、そういったネット社会を刑法で規制するための、法案ではないか。

「民」は従順に大人しく受け身に「おカミ」の言うことを聞いて従っていればいいのに、自分たち独自の「市民ネットワーク」を駆使しはじめ、「おカミ」にきわめて都合の悪い情報を交換している、これはまずい、これは無視できない………。
そんな風に考えてのことかどうかは知らないが、「夜陰乗じた」法案であると言わざるを得ない。
他国の民主化運動もネットやフェイスブックを通して、呼びかけられた。
70年代、「明日は騒乱罪!」という言葉がわたしたちの世代を飛び交った。
2011年の現在は、「明日は共謀罪」か! である。
しっかりチェックしていこう。