計画避難区域になった飯舘村で暮らす人々の避難がはじまった。
97パーセントが避難をすでに終えているという。
特に年を重ねた人びとにとって、
今までと違った環境での暮らしは平坦ではない。
母も住いが変わったところで、最初は見当識障がいになり
(病院でのことで、一週間ほどで回復したが)、
二度目の短期入院で確実に暮らしを認知する力が衰えていった。
暮らしを重ねた「いつもの居場所」こそ、ひとの心の「シェルター」だ。
その「シェルター」を奪われた悲しさ、喪失感、痛みはどれほどのものだろう。
記憶のシェルターでひと休みすることで、ひとは今日を明日に繋ぐことができる。
それを否定されたのが、住民たちであるのだ。
どうかどうか、ご無事で、と祈るしかない、のか。
これでもまだ、安全を確認したら、原発は再開だと言うのだろうか。